コロナが流行し始めた2020年3~4月あたり、マスクを販売したのは景品表示法違反に当たるとして、消費者庁は21日、夢グループに6589万円の課徴金納付命令を出した。
- 不当な価格表示
夢グループは、マスクを「特別価格」や「割引価格」として販売していたが、実際にはこれらの価格は通常の販売価格であり、実際に割引が行われていたわけではなかった。にもかかわらず、「通常価格は〇〇円だが、今なら特別価格で〇〇円」といった表現を用いて消費者に対し、実際以上の価格的メリットがあるかのように誤認させる表示が行われていた。この手法は、景品表示法において「二重価格表示」として明確に禁じられている行為であり、消費者が「今買わないと損をする」と誤解する可能性が高いと判断されたのである。また、こうした表示は消費者に不当なプレッシャーを与え、冷静な購買判断を妨げるリスクがあるため、景品表示法の規定により厳しく取り締まられる行為とされている。結果として、夢グループの行為は消費者の購買判断を著しく誤らせる不当表示に該当すると判断されたのである。 - 虚偽の広告表示
夢グループは、マスクの性能や品質について根拠のない優良な効果をうたう広告を行っていたとされる。たとえば、「特別なフィルターでウイルスを完全にブロック」といった科学的根拠の乏しい表現が使用され、消費者に誤った安心感を与えていた可能性がある。さらに、「花粉症の方にも最適」「長時間使用しても快適」など、効果や機能に関する誇張した表現が多用されていたことも問題とされた。これらの広告は、具体的なデータや実証がないにもかかわらず、あたかも確実に効果があるかのように見せかけた点が消費者を誤解させる要因となったのである。特に、感染症が流行していた当時は消費者の不安心理が高まっていたため、こうした誤解を与える広告が影響力を持ちやすい状況であった。実際の効果が証明されていないにもかかわらず、過剰に優れた性能をアピールする行為は、景品表示法における「優良誤認表示」に該当するとみなされたのである。 - 景品表示法違反(有利誤認表示)
夢グループは、通常価格で販売していたマスクを「お得」や「特別価格」などと表示し、消費者に「今だけの特別なチャンス」と思わせるような販売手法を行っていた。この手法では、「期間限定」や「数量限定」といった言葉が多用され、消費者に「すぐに購入しないと損をする」という心理的圧力を与える仕組みが取られていた。こうした販売方法は、実際には商品に特別な価格的優位性がないにもかかわらず、有利な条件で販売されているかのように見せかけた点が問題とされた。加えて、夢グループは「市場価格よりも安く購入できる」といった根拠のない比較表示を用い、あたかも他社製品より優位であるかのような印象を与えていた。こうした表示は、消費者が「今買わなければ損をする」と感じやすく、冷静な判断ができなくなるリスクがあるため、景品表示法では「有利誤認表示」として規制されている。今回のケースでは、これらの誤認を狙った表示が認定され、その違反が指摘されたのである。
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