石破総理が1回の衆議院議員の事務所に1人10万円相当の商品券を配っていた。違法性はないというが国民感情からすると釈然と「ああそうですか」と納得しにくい面がある。
公正性の問題
第一に、公正性の問題である。政治家は、国民全体に奉仕する立場にあるはずだ。政治は、特定の利益団体や個人ではなく、すべての国民に対して公平であるべきであり、その基本原則が揺らぐことは断じて許されない。今回のように、特定の議員事務所にのみ10万円相当の商品券を配る行為は、選別的な利益供与と捉えられても仕方がない。こうした行為は、政治家としての公平性や中立性を損なう行為に他ならず、「違法性がない」という一点張りの説明では済まされるものではない。むしろ、法律の網をすり抜けるような抜け道を利用して便宜を図る行為こそが、最も厄介で悪質な問題である。法的な問題がなくても、政治の透明性が損なわれれば、国民の政治不信は一層深刻化する。ましてや今回の件は、税金が関わる問題であり、公共の利益を軽視する姿勢として強く非難されるべきである。政治家の役割は、個人的な利益や党派的な都合ではなく、国民全体の福祉と利益を最優先に考えることである。その本質がないがしろにされ、国民の信頼が損なわれることは、民主主義国家において重大な危機である。
倫理的な問題
第二に、倫理的な問題が挙げられる。たとえ形式的に違法でなくとも、10万円相当の商品券を議員事務所に配るという行為は、利益供与と見なされるべきである。この行為が事実上の「賄賂」や「買収」と受け取られれば、政治の健全性は著しく失われることになる。特に、選挙の公正性を脅かす可能性がある以上、この行為が見逃されてはならない。さらに、こうした行為は、他の議員や関係者に対して「商品券の配布が許される」という悪しき前例を作りかねず、政治のモラルを大きく損ねる恐れがある。こうした行為が繰り返されれば、政治家の行動は「金品で票を買う」行為と区別がつかなくなり、民主主義の根幹が揺らぐ危険性を孕んでいる。国民の代表者である政治家が、「違法ではない」と堂々と言い放つのは、極めて無責任な姿勢であり、国民の政治不信をさらに加速させるものである。政治家としての品格や道徳観が問われる行為であり、責任感の欠如が顕著に表れている。政治家が率先して模範を示し、国民の信頼を回復する努力を怠るならば、政治への無関心や諦めが社会に広がるのは避けられない。
説明責任の問題
第三に、説明責任の問題がある。「違法ではない」からといって説明を避ける姿勢は、政治家として到底許されるものではない。なぜ商品券を配ったのか、どのような目的があったのか、対象はどう選ばれたのか。これらの点について、国民が納得できる説明がなされない限り、この行為は「不正」と断じられても仕方がない。政治に対する国民の信頼を取り戻すためには、真摯で誠実な説明が不可欠である。
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