賃上げもここまで来たかと思う金額ですね。
昭和・平成を生き抜いた中年サラリーマンの本音
最近ネットニュースで「大卒の初任給が25万円から35万円にアップ」という見出しを目にしました。正直なところ、驚きました。そして、少し複雑な気持ちになりました。なぜなら、自分が社会に出た頃と比べて、あまりにも状況が変わりすぎているからです。
私が新卒だったのはバブルがはじけた直後、就職氷河期と呼ばれた時代でした。就職口を探すのも一苦労で、ようやく入った会社の初任給は手取りで18万円弱。それでも「ありがたい」と思って働いていました。
当時の社会は、残業も多く、上司の機嫌をうかがいながら「飲みニケーション」に付き合うのも当たり前。休日出勤も文句は言えず、「若いうちは根性で耐えろ」が合言葉でした。昇給だって年功序列が基本。頑張っていれば、いずれ報われると信じていました。
それが今では、入社してすぐ35万円。時代が変わったと言えばそれまでですが、正直なところ「そんなに出して会社は大丈夫なのか?」と不安にもなります。
もちろん、若者にお金を出すこと自体は悪いことではありません。優秀な人材を確保するため、企業が待遇を改善するのは当然の流れでしょう。
ただ、私たち中年世代の多くは、「ずっと給料は据え置き」「昇給もボーナスも横ばい」「子どもの教育費と住宅ローンに追われる日々」の真っ只中です。そんな中で、物価はどんどん上がり、食料品も光熱費もガソリンも、数年前とは比べ物にならない水準になっている。
それに対して、私たち中年層の給料はどうか。
残念ながら、ほとんど上がっていません。むしろ、実質賃金で見ると目減りしていると言っていいでしょう。頑張って働いても「手取りは減って、負担は増える」――これが現実です。
一方で、新卒に大盤振る舞いのような待遇を見せつけられると、「これまで会社に尽くしてきた自分たちは、いったい何だったんだろう?」とやるせない気持ちになるのも本音です。
企業が生き残るには、若手の確保は欠かせません。でも同時に、これまで現場を支え続けてきた中年・ベテラン層へのリスペクトや報酬も見直してもらいたいのです。若手にだけ夢を与えるのではなく、働き続けることに希望が持てる会社であってほしい。
初任給35万円。確かに時代の要請かもしれません。けれど、物価高という現実に晒されているのは若者だけではない。家庭を支える中年サラリーマンにも、同じように「生きづらさ」がのしかかっています。
どうか企業も、国も、目先の人材確保だけでなく、今働いているすべての世代の声と暮らしを見つめてほしい。それが、持続可能な社会への第一歩だと、私は思うのです。
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